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弥山川 一の滝〜三の滝登攀

日程 2006年6月4日(前夜発)
地域・山域 大峰
形態 沢登り
メンバー 佐々木、尾崎、浜矢(大津岳士会)、木下(無所属)
報告 佐々木

6月3日(土)

19時半、浜矢さんを自宅にてピックアップ。一路、御手洗渓谷へ向かう。
弥山川一の滝から三の滝までの完登は3年前からの課題であったが、何度か計画するものの天候悪化や日程の折り合いがつかず見送られてきた。特に三の滝は釜の中から攻めるので若干の増水でも手に負えなくなってしまう。
今回は梅雨入り前の晴天続きの中での山行でもあり大きく期待がふくらむ出発となった。22時前に御手洗渓谷入口の公衆便所上の空き地に到着。すでに尾崎氏と友人の木下氏がフライシートを張って宴会真っ最中であった。早速、その横にテントを張り合流させて頂いた。丁度、鮎の塩焼きが出来上がったところで空きっ腹に最高に美味かった。私を除く3人とも酒豪で、申し訳ないと思いつつ盛り上がる宴を抜けさせて頂き先にやすむことにした。

6月4日(日)

熊渡(6:00)〜 一の滝(7:30/8:30)〜 二の滝(8:30/9:30)〜 三の滝(10:30/12:30)〜 熊渡(14:30)

4時半起床。テントを出てみると尾崎さんのフライが倒れており両氏とも天空を見上げたままで寝入っておられた。なかなかの豪傑である。気持ちよさそうに寝ておられ申し訳なかったが起きてもらいそそくさと朝食を済ませ熊渡りの出合いへ移動する。林道入口に設置してあったチェーンもたるみきっており楽々通過出来そうである。入れるところまで入ってみようと車を進めたが、林道は予想を越えて整備されており八丁入口まで入ることが出来た。そこで装備を付け登山道を滝へ向かった。

「一の滝」 佐々木リード 2ピッチ
表からは見えない左岸の巨大なクラックの中から登攀を開始する。形状やチョックストーンから見てかつてはここを本流が流れていたのかもしれない。中は薄暗く頭上の巨大な岩に威圧される。いったん右の壁に取り付き体を持ち上げてからステミングで高さを上げチムニー登りを交えながらチョックストーンのエッジを取る。エッジホールドはしっかりとしており安心できる。この間はノープロなので慎重に登る。チョックストーンの上は土砂が溜まりテラスとなっている。ここでピッチを切る。さらに左岸の壁伝いに登り立ち木でプロテクションを取り、そこから裂け目のように広がっているクラックの反対側へ左足をとばし、ステミングでにじり揚がり唯一打ってあるリングボルトにアブミをかけ乗り移る。その上部にあるリスにフレンズをかましてプロテクションを取った後やや左回りで一気に体を持ち上げクラックから抜ける。あとは岩なりに滝頭に到達する。

「二の滝」 尾崎リード 2ピッチ
釜からやや離れたところから右岸に取り付く。5mほど登ったところからせり出し気味のスラブがいやらしい。こまかいホールドを取りながら、なかばだましながらバランスをとってよじっていく。左に回り込んだ安定したテラスでピッチを切る。滝のすぐ左側の逆層ぎみの壁にもルートは見えるが、安全策をとってその途中からさらに左にトラバースしたルートを選択する。以前、初めてこのルートにトライした折りに、このトラバースで落下したことがあり個人的には印象が悪いルートである。尾崎さんは難なく滝頭に抜けていってしまった。

「三の滝」 佐々木リード 3ピッチ
大休止のあといよいよ三の滝にトライである。少し前トライし核心で落下しさらにアブミを釜の中に落としてしまった事を浜矢さんから聞き身が引き締まる。それだけではなくとにかく水が冷たい。ガタガタと体が震え歯がなってくる。まず釜の中程にある岩礁まで泳ぐ。今回は水が少なく岩の一部が頭を出していた。ここがビレーポイントである。さらにここから滝の右岸にあるクラックまで泳ぎその中に入り込んで取り付く。水深は結構ありそうである。ホールドはしっかりしているので難なく水から体を抜くことができるが、5m程上がややせり出し気味でいやらしい。プロテクションを取って強引に抜けようかと迷ったがまだ1ピッチ目である。落ちて滅入ってしまうと3ピッチ目の核心どころではなくなってしまうと思いアブミをセットする。せり出しを抜けきったところでピッチを切る。そこからクラックの両壁を使ってステミングで登りクラックを抜けたところで右から回り込みながら巨大チョックストーンの真下でピッチを切る。ここから空中ハング越えの核心である。浜矢さんが一昨年に打ってくれたリングボルトを頼りに上の垂壁に揚がろうとするもなかなかバランスが取れずに消耗していく。やはり小太郎か小学校の運動場にあるウンテイでトレーニングをする必要性を痛感する。なんとかスカイフックのお世話になりながらも上部の垂壁に取り付く。しかし、これからが本当の核心であった。抜け口が狭く体を挟み込むとザックが引っかかり、体を出すとバランスが崩れてしまう。なんとかもがきながら二本のアブミをセットでき最後の力を振り絞ってやっと抜けることが出来た。全員が抜ける頃に雨が降り出し懸垂で三の滝を下降し泳ぎ返して二の滝の頭から一般登山道に抜け下山した。

3年越しの課題をやりきり気持ちのよい下山となった。なお浜矢さんからは気持ちよくリードをさせて頂き感謝している。 三の滝の上部にはF4からF7が連なりF8はさらに巨岩が立ちふさがっている。一昨年の偵察では左岸にリングボルトとハーケンを見つけておりルート的には確認出来ていそうではあるがまだ何とも言えない。今年度中に是非トライしたいものである。

二の滝の頭

二の滝中部登攀

三の滝の頭

三の滝取付

三の滝中部

三の滝上部乗越

三の滝の頭から釜を見る


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