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甲斐駒ケ岳・赤石沢ダイヤモンドAフランケ 赤蜘蛛ルート

日程 2007年10月6日〜8日(前夜発)
地域・山域 南アルプス
形態 アルパインクライミング
メンバー 岡本、佐々木
報告 佐々木

10月6日(土)

5日(金)21時天理発。一路、戸台を目指す。
1時半、戸台仙流荘着。車中泊。5時半のバスに乗車。

最近とみに体力の減退を感じている。寝不足だと間違いなくバテバテヘロヘロ。
相棒の岡本さんは元気元気!仙水峠で10分待たせ、駒津峰では15分待たせ、駒ヶ岳ピークの稜線では30分も待たせてしまった。天気は最高だが気温は思った以上に低い。私を待つ間、岡本さんはガタガタ震えていた。誠に申し訳ない。
ピークを越えて11時半に八合目御来迎場到着。
赤蜘蛛への取り付き地点への下降ルートの目印になる岩小屋を見つけるのにやや手間取る。八合目のやや上、岩場の急登に入るすぐ左に見つけアプローチルートを確認し近くにテントを張る。
テント設営の後、アプローチルートの下見に出る。何度か迷いながらもフィックスロープまでの下降ルートのポイントを確認する。
その後、テントに戻り七丈小屋まで水くみに行く。二人で10L。もうバテバテのよれよれ・・・。テントに戻っても疲れ切って食欲なし。行動食の残りのオニギリを二個食べて夕食は終了。
七丈小屋で翌日の赤蜘蛛ルートに取り付くパーティー数は5つとの情報を入手。確実に渋滞と判断し、3時起床の4時発に決定し早々にシュラフにもぐりこむ。

甲斐駒ケ岳&摩利支天

8合目岩小屋


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10月7日(日)

翌朝、4時5分にテントを出ると目の前を1パーティーが通過!先を越されすぐに追いかける。先行した二人に追いつき取り付きまで同行する。話をしてみると友人の知り合いであることが判明。クライミングの世界の狭さに改めて驚く。
約1時間で取り付きに到着。前日の下見がバッチリと生かされた。先行した大阪の二人がトップ。我々が二番手となった。これでヘッデンクライムはないと胸をなでおろす。
5時はまだ暗い。四人でしゃべりながらゆっくりと準備しながら夜明けをまつ。そのあいだに続々と後続パーティーが到着。我々のすぐ後が石川の二人。そして若い三人組、続いて二人組の5パーティーである。
リードは1・3・6・8を岡本さん。2・4・5・7を佐々木で行くことに決定。2Pと6Pが面白いからとのことで分け分けである。
5時50分いよいよ赤蜘蛛に取り付く。戦闘開始である。

【1P目、30m/岡本リード】
記録通りに1ピン目があまりに遠い。岡本さんが持参したチョンボ棒でもやっとの距離であった。果敢にせめていく岡本さん。アブミの最上段に乗りながら掛け替えていく。頼もしい登攀である。
「オイオイ!」と言わせるのが終了点の小さなテラスへの抜け口。最終ピンから上へ抜けるのは簡単であるがアブミの回収が残ってしまう。回収しながら抜けるのにちょいとムーブを考えなければならない。

【2P目、40m/佐々木リード】
出だしはV級に毛が生えた程度であるが、その先を回り込むと・・・・おおおおおお!
見事なディエードルが突き上げる。記録ではレイバックをかまして気持ちよく・・・・なんて書かれているものもあるが、そんなもんできるかい!足をつっこんでヒーヒーいいながら登る。
中間点に支点はあるがさらに上までのばしてピッチを切る。支点はめっちゃ悪い。シュリも支点もボロボロ。カムを三発かまして支点をつくる。

【3P目、25m/岡本リード】
それほど長くはない。ディエードルから左のフィンガークラックに移って掛け替えていく。

【4P目、35m/佐々木リード】
V字ハング。左から回り込みながら上部のハングを越える。
小太郎岩のライオンハングに比べれば楽なものである。
ハングを越えればV級程度のクライムで大テラスに着く。テラスは十分にビバークできる広さである。
このあと6Pのナチュプロの掛け替え、さらに7Pの恐竜カンテが待っているので小休止にはもってこいである。
6Pが完全ハンギングビレーなので先行の二人が安定するまで大テラスでごろり。ちょっとzzzzzzzzz。

【5P目、30m/佐々木リード】
戦闘再開。あまりよく覚えてない。
出だしはフリーでディエードルを越えスラブを左から巻き上がり浮き石の多いV級を攀って終了点・・・・だったかな。
見上げると6P。大阪の二人が奮闘中。

【6P目、40m/岡本リード】
初めはピンの掛け替え。途中からナチュプロの掛け替えになる。キャメロットやナッツの残置がちらほら。
フィンガーリスもしっかりと手が入るので、安定しそうではあるがナチュプロなので緊張感は満点!高度感も満点!さすが核心って感じである。

【7P目、40m/佐々木リード】
ハンギングビレーの岡本さんの背中をまわりこみ恐竜カンテを越えていく。ピンはやや遠目であるが最上段に乗ればとどく。但しリスもクラックもないのでバランスに気をつけなければならない。高度感はもう最高!!!!
終了点を目前にしてピンがなくなる。ありゃ?右から回り込めば立ち木&クラックがある。ええ?こんなところでフリーのトラバース??さて、どないしょ!ここは現地に行って考えて下さい(^o^)

【8P目、30m/岡本リード】
まったく問題なし。

【9P目、80m/コンテ】
コンテで時々モンキー。まったく問題なし。

3時半、Aフランケ頭の岩小屋に到着。そこで装備を解き踏み跡をたどると、すぐに見覚えのあるアプローチルートに出る。あとはしっかりと頭に入ったルートをたどりテントへ。
4時、登攀完全終了。
黒戸尾根を下山する大阪の二人に挨拶して、ゆっくりと夕食に入る。ところがすぐ後についていた石川の二人が上がってこない。待つこと2時間。迷った〜〜〜とヘロヘロになって到着。
7時にシュラフに入る。うつら、うつらしているとテントの外の話し声に目が覚める。四番手の若者三人パーティーである。時計を見ると、なんと9時半。それじゃ〜五番手の二人は????
「下見しててよかった。4時発にしてよかった。」と互いに声を掛け合い眠りについた。

朝日に輝くAフランケ

1P

2P、10mほど登ると

2P、見事なディエードルが飛び込んでくる

3P、V字ハング下まで行く

3P

4P、V字ハングを左から越える

4P

大テラスでしばし休憩

5P終了点&6P先行パーティー

6P、カムの掛け替えが数ポイントあり

6P、スーパークラックが見える

6P

6P、ハンギングビレーでフォローを迎える

7P、恐竜カンテを越える
すごい高度感だ

7P、赤石沢をはるかに見下ろす

8P、終了点

 


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10月8日(月)

6〜7日の快晴が嘘のような雨。4時起きの5時発。
強風、横殴りの雨の中をヘッドランプでピークへ登り返す。最終日も早朝発が大正解。
時間を追って風雨が強まり、駒津峰を下るときにはあまりの強風によろよろよろ・・・・。
誰も登ってはこないだろうと思っていると・・・いるのですね〜、こんな日でも。すごいとしか言いようがないですね〜〜。
もくもくと歩き9時に北沢峠着。定期のバスは10時発だが、臨時便がすぐにやってきてラッキー!!!
速攻仙流荘の温泉にドッボ〜〜ン。
ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜
ええ〜〜〜湯だにゃぁぁぁぁぁぁ〜〜〜
最高におもろかった赤蜘蛛でした。

下山は土砂降り

 


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感想(岡本)

昨年より2度悪天候のために計画が流れ、これが今年最後のチャンスであった。どうせ行くなら青空の下で・・・と延期してきた甲斐があった。最高の天気に最高のロケーション、硬い花崗岩を攀じる素晴らしく豪快なルートだった。赤蜘蛛ルートはスケール、難度共に実力相応といった感じで、心地よい緊張感を持ちつつ、秋空の下クライミングを楽しむことが出来た。2日間で登りに来るパーティーもあるが、3日間を費やして登りに来ても、それだけの値打ちはある。機会があればまた来てみたいと思わせるルートです。
日頃の怠惰な生活のせいで、アプローチを含め体力的に若干の不安を感じていたが、そのわりには体はよく動いた・・・と思う。まだまだいけますかな?

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