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十勝岳・後方羊蹄山・ニセコアンヌプリ・イワオヌプリ

日程 2008年7月21日〜26日
地域・山域 北海道
形態 ハイキング
メンバー 清岡、長嶺、伊藤、左海
報告 左海

【第1日】 7月21日(月)

大荷物を抱えて集まった我々を乗せてJAL3911便は8:00伊丹を飛び立った。
上々の天気で上空からの眺望を楽しんで北上するが、北海道に近づくにつれ雲で見えなくなった。
10:00新千歳着。曇り、涼しい。遠くの山は薄いベールをかけたようで湿度の高さを感じる。
旭川でガス、食料を購入しR237を南下する。
瑛の丘の風景を楽しんだ後白金野営場に着く。
深い森の清潔な美しいキャンプ場だが、薄暗くなってから野天での食事に猛烈な蚊の攻撃を受ける。

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蚊の襲撃に負けず食事


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【第2日】 7月22日(火) 十勝岳(2077m)

登山口(5:30)〜1720m地点(7:35)〜十勝岳山頂(8:45/9:20)〜駐車場(11:55)

5:00テン場を出発する。
標高930mの登山口、望岳台は広々とした台地である。噴火で焼かれたせいか既に森林限界は超えている。西下方に富良野の町、北方に大雪の山々が連なり広大な眺めだ。
夜半から降ったりやんだりしている小雨の中を歩き始める。
泥流跡というごろごろした道を緩やかに登っていく。合羽を着た身にはさすがに暑い。
マルバシモツケやイワブクロに慰められて古びた小さい避難小屋に着く。
小屋から直進する前十勝への道は閉じられていて、コースは左手の急斜面へロープで誘導されていく。
我慢の急坂を登って尾根に出る。旧火口等の複雑な地形を観察したいところだが雨風が強い。
前十勝から昇る噴煙を見ながら十勝本峰の稜線に近づいて、白いねっとりとした火山灰と瓦礫の急坂を登ると十勝岳の山頂に到着。(8:45)
雨はやんでいたがガスで展望はゼロ。大雪から2泊3日で縦走をしてきた元気な四人組がいた。
岩陰で小休止の後美瑛岳は断念して下り始める。
にわかに雲が切れて大雪の峰々が顔を出した。あわてて山頂に引き返す。
美瑛の奥の高峰はトムラウシ、右へ延びる尾根の先端は石狩か?ならば二ペソツは?と山の同定をしていたが 寒い。再びガスもかかりはじめ山頂を辞す。
無数の溝状の切れ込みは積もった火山灰が雪や雨で削られたものだ。
圧巻の黒い砂丘。海辺かと思うような砂地の平坦地。噴火時に降り注いだままかとおもわれるような大小の礫が散らばる斜面。複雑な山容だ。
1720m付近でまたまた雨風。その中を登っていくカラフルな雨具の一団を見送って暫くすると急に後ろに足音を聞いた。振り返るとアスリートらしき学生の一団が我々を追い抜いて駆け下りて行った。
十勝岳温泉から走り登ってきたらしい。鍛えられた“若さ”に羨望と感動を覚える。
くだりの長さを感じる頃ようやく望岳台につく。

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十勝岳の山頂にて

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十勝岳から富良野岳の稜線

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十勝岳の噴火砂丘


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【第3日】 7月23日(水) 移動日

深夜1時頃から振り出した雷雨は強弱を繰り返しながら朝まで降り続く。半端な降り方ではない。
予定では今日は幌尻山荘までだが渡渉の危険を考えて中止を決定。ニセコへの移動日となった。
道南は軒並み警報注意報が出ている。道路沿いの河は濁流となっていた。諦めもつくというものだ。

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一泊したコテージとテン場


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【第4日】 7月24日(木) 羊蹄山(1898m)

出発(6:00)〜4合目(6:50)〜8合目(8:45)〜火口壁コル(10:15)〜山頂(11:05)〜避難小屋(12:30/50)〜4合目(14:20)〜登山口(15:30)

真狩村はまっすぐに伸びる道が印象的だがここ羊蹄山登山口も羊蹄自然公園入り口から一直線に伸びた道の先にある。登山ポストの横にテントを残していざ出発。天候晴れ。
標高差1500mの往復に気が引き締まる。登山路は深い樹林の中である。汗が噴出してくる。
南コブ分岐を過ぎて道は右へ巻くように登っていく。861mあたりが4合目か。
高度を上げるにつれ傾斜をまして滑りやすい急坂や磐根がでてくるが、ところどころ風道もあって思ったより歩きやすい。
8合目付近の涸沢にはイワブクロが大群落を作りイワギキョウが鮮やかだ。9合目にかけてミヤマホツヅジ、ウメバチソウ、クルマユリ、ヤマハハコ、チシマフウロ、ハクサンチドリ、エゾオヤマリンドウ、etcが咲き競っている。
ニッコウキスゲの咲く斜面に立つ避難小屋を見て、樹林を離れて一頑張りすると火口壁のコルに出る。広い火口がぱっくり。スケッチをしているという長嶺さんを残して火口壁の周回にむかう。
岩場の小さなアップダウンを繰り返して山頂に着く。火口から吹き上がってくる風が心地よい。
ピークを過ぎると緩やかな起伏となり、比羅夫へ下る道がいくつもあってガスのときは要注意だ。
避難小屋で長嶺さんとおち合い見事なハイオトギリの群生が彩る小道を登山路へ戻る。
小屋でぽつぽつしていた雨が6合目あたりから急に強くなってまたも合羽のおでましとなった。
雨に急かれて下ったせいか長さを感じる余裕もなかったが、オレンジ色のテントを見たときはやれやれ。
ほっとしたらどっと疲れが出てきた。膝に強い違和感を感じて以来長時間の山行がなかったことを反省しつつ真狩温泉で疲れを癒した。

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イワブクロの大群落(一部)

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羊蹄山の大火口

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疲れた要諦山から下山

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羊諦自然公園のテン場


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【第5日】 7月25日(金) ニセコアンヌプリ(1308.5m)・イワオヌプリ(1116m)

出発(7:30)〜アンヌプリ山頂(9:00/10:00)〜駐車場(11:05/15)〜イワオヌプリ山頂(12:30/13:00)〜駐車場(13:55)

幌尻をカットした分日程にゆとりが出た。
ニセコの主峰アンヌプリを登るべく隣町へ車を走らせる。
スキーで有名な町だが早朝ということもあって静かだ。
ニセコ山の家の奥で車を止め出発する。前日と違い気が楽だ。皆もくつろいだ表情である。
中腹はダケカンバやナナカマドが天蓋となって涼しい風の道が続く。
展望や花を愛でながらジグザグの急な道を登り尾根を進むとあっけなくアンヌプリの山頂に出た。
正面に羊蹄が美しい。背面には大きな崩壊をもつイワオヌプリ、その左に続く尾根の行先は日本海だ。
雨具を干したりおしゃべりをしたり、全員定番のゼリーを食べながらの〜んびり。
時間はたっぷり、もう一山と話していたら地元の若い女性が独り登ってきた。
清岡氏は急登のチセヌプリに心動かされていたようだが、彼女の勧めでお花畑がよいというイワオヌプリに決定。下山。
直ちに道路を隔てて30mほど先の駐車場に移動。川を渡り遊歩道を行く。両側はイソツツジとガンコウランの大群生である。その先の無粋な階段が登山口。階段の急坂が終わるとツバメオモトやマイズルソウが林縁を飾るいい雰囲気の平坦地となる。火山灰の白い小広場で大沼と分岐、右へ登っていく。
白い小さな花を散見する。モウセンゴケの花だった。意外なところにあるものと感心する。
森林限界を超えた急な斜面にはコケモモの実が宝石のように赤い。
登りついた稜線はさらに奥の火山灰や砂礫の丘陵に続いている。ピークはその高みらしい。
右のほうの落ち込みはアンヌプリから見えた白い崖である。左の方の窪みは爆裂火口跡という。
ザクザクと砂礫の斜面を直登してピークに到るが石積みがなければ何処が山頂か迷うところだ。
旧火口を抱くように連なる山頂部を巡って苔桃、イソツツジ、ガンコウランが繁る斜面から樹林に入り大沼、ニトリヌプリの分岐に出てもとの道を戻ってくる。

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ニセコアンヌプリ山頂にて

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イワオヌプリ山頂にて

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豪勢な酒のアテ

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京極町のテン場(羊蹄山)


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【第6日】 7月26日(土) 移動、帰宅

最後のテントサイトとなった京極町テント場で念入りにパッキングをすませる。支笏湖経由で空港へ。
それぞれ腰痛やら膝痛やらで不安を抱えての参加であったが無事やり終えた充足感をもって空港に戻ってきた。
だが雨でメインの山がとんでしまうというハプニングの山旅の終わりはやはりハプニングがあった。
空港で荷物を預けようとした時のこと、往路伊丹空港では問題なく通過できたのにガスヘッドが危険物として待ったがかかったのである。7月初旬に国交省の指示が出されていて乗せられないと言う。別送しなければいけないのだ。そんな馬鹿なと大いに抗議するが“お上の命令”で相手も譲れず、往路のミスもあって会社側の責任で送ってもらうことで決着する。
ガスヘッドの発火装置が危険ということなのだろうが、なんとも融通の利かないこと。
北海道、沖縄のキャンプはどうなるのだ。こんな馬鹿なことを決めた国交省の役人の顔が見たい。

今回も清岡氏の大いなる尽力があった。計画から色々な手配、現地での安全運転と(一応免許証は持っていったのだが結局清岡氏にお任せになってしまった。)一番のご高齢者に大活躍していただく。
おまけに今回は飛行機代が半額と言う特典付だった。皆に喜んでもらったら僕の喜びと言う氏の言葉に甘えて感謝。
そしててきぱきとした伊藤さんの活躍で何事もスムーズに運ぶのは毎度のことだが、今回は費用も予算内にどんぴしゃ収まった。会計の面目躍如である。
食料担当の長嶺さんはさすがアーティスト。頭が柔らかい、アイディァが豊かだ。大いに勉強になる。
色々あったがこの不安定な時代によき仲間と山三昧の日を送れた幸せをかみしめている。

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