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白崩谷〜東の川〜千石尾根

日程 2006年6月18日(前夜発)〜19日
地域・山域 大台ケ原
メンバー 佐々木、尾崎、浜矢(大津岳士会)、木下(無所属)
形態 沢登り
報告 佐々木

ルート/タイム

6/18 大台駐車場(7:30)― 尾鷲辻(8:00)―白崩谷源流(8:45)― 東の川出合い(13:15)―
東の川テン場(15:00)
6/19 東の川幕営地(6:30)― 西の滝(12:15)― 大休止―中の滝(13:15)― 千石尾根稜線(15:00)―
大台駐車場(16:00)

6月17日(金)

前夜泊の場所は大台道路旧料金所横の東屋。二年前の峡彩山岳会との交歓登山の折りにもクライミング隊が宴を開いた場所である。仕事の都合で到着が遅れ今回も尾崎さんを待たせてしまった。さすがに大台の夜は冷える。心配していた蚊もいない。翌日のロングランがあるので早々に切り上げシュラフの中にもぐりこんだ。

6月18日(土)

6時前にゆっくり起床。昨夜の残り物を口にするが食欲がまったくない。浜矢さんは元気よくむしゃむしゃとよく食べていた。トイレをすませ大台の駐車場に移動し装備を確認しながら出発の準備に入る。
7時半に大台駐車場発。いよいよ長い二日間が始まった。途中で歯ブラシを忘れた浜矢さん(結構清潔なんやなぁ。ちょい見直しました。)を尾鷲辻の東屋で待ち、8時に尾鷲道に入る。大台のブナ林はいつ来ても気持ちがいい。時々不鮮明になる尾鷲道を南に下りながら堂倉山をめざす。
小一時間で堂倉山への分岐点に到達。そこからさらに10分ほど進みほぼ白崩谷の源流部であろうと判断したコル部から谷へ下降を始めた。沢の芯を攻めると到底一日では下降しきれないとの情報で慎重に左岸・右岸の形状を読みながら下降を続ける。幾度かのクライムダウンを続けていると突然前に滝の落ち込みがあらわれた。初めての大滝である。浜矢さんのルーファイで左岸の支稜線へ登り詰めそれを越え一気に下降し大滝の下へ回り込む。滝は左上部からの本流らしき流れと合流している。我々が本流だと思って下降を開始した沢は支流であって、本流への下降点はさらに先にあったようである。
本流に入ってからは基本的には左岸をベースにこまかく巻きながら下降を続けていった。装備も重く悪路の下降は足腰に負担がかかりズシンズシンと足の疲れが限界へと高まっていく。3時間ほど降ると突然沢が大きく開け抜群のテン場があらわれた。二人用テントなら2〜4は張れそうである。ロケーションも申し分ない。右岸には切り立った巨大なハングを伴う垂壁がつらなる。「だれかあそこにルートを開いてくれんかなぁ」と浜ちゃんがつぶやく。
雨が本降りとなってきた。そこから何度か渡渉を繰り返し膝をガクガクと言わしながら東の川との出合いに辿り着いた。5時間の降渓であった。水質のよい白崩谷で水を汲み小休止の後、東の川の遡行を開始した。ここからは見覚えのある箇所が次々と出てくる。しかし、水量が違う。足首が膝上、膝上が腰・胸ほどの増水である。雨は上がるどころか土砂降りとなってきた。シトシト降っていたときには、やはり大台には雨が似合うなぁなんて軽口をたたいていたが、誰も口を開こうとはしなくなった。もくもくと大岩をよじり右岸を巻きながらテン場を目指す。3時過ぎにアメ止メの滝やや下流右岸のテン場に到着。沢床からもしっかりとした高場でさらに増水しても安心して眠れる場所である。しかも右岸稜線からの水が取れ、十分に雨を防げる岩屋もある最高のテン場である。雨さえ降っていなければ・・・・・。
ターフ1枚・ツエルト3枚。それらをすべて天幕に張り巡らし宴会場を設営。天幕の下に車座に座り込み寝床をそれぞれに確保しながら宴が始まった。次から次へと様々な食材が出てくる。エイのひれ・フランクフルト・鯖の水煮・麻婆豆腐・焼きビーフン・きんぴらゴボウ・キムチetcである。日本酒にウイスキーはもちろんのことである。「軽量化はどうなっている!」なんて堅い話はひとつも出てはこない。それぞれがどうぞどうぞと言いながら回し食べをする。「まだ5時かぁ〜」と叫びながらワイワイと楽しい時間が過ぎていった。雨は降り止む気配はなく7時にシュラフにもぐり込む時にはいっそう強く天幕をたたいていた。

6月19日(日)

5時半起床。雨はやんでいる。しかし、いつ降り出してもおかしくないどんよりとした空模様である。当初、白崩谷を下降して、大蛇ー西稜登攀を計画していたが、天候も思わしくなく計画を変更して増水した東の川を遡行して今は廃道となった千石尾根ルートを登り返して帰ることにした。
増水した東の川遡行は、濡れたザックの重さも前日以上に感じられ緊張の連続であった。エボシーを右手に見ながら右岸を巻きあがるときに突然ガスが晴れ一瞬大蛇ーが姿を現した。今回も断念せざるを得なかったが必ずトライしたいものである。
2度ほどザイルをのばしながら泳ぎ地獄釜を左岸から巻き上がり、さらに巨石のゴーロ帯を浜ちゃんのルーファイで越えていく。テン場を出てそろそろ6時間が経過しようとするときに、左前方になつかしい西の滝が姿を現した。そのまま飛沫を浴びながら滝下を抜け、中の滝の前へ進み小一時間の大休止となった。その後いよいよ東の川から離れ千石尾根をめざすことになる。
中の滝登攀の取り付きの上のあたりから尾根に入ると言うことなので大まかな検討をつけて枝沢を登り始めた。(本当はもう一つ上の枝沢であった)廃道と言ってもまったくの藪こぎではなく、かつてはルートだったところを登るのだからしばらくすれば稜線に抜けられるだろうとの甘い考えはすぐにどこかへ飛んでしまった。徳野さんと辻さんからルートの状態がとても悪く尾根の下降を断念したとの報告(定かではないが・・・・・)があったのを思い出しながら、それに途中撤退を納得しつつ辺りの笹をつかみながら不安定で急勾配の土斜面を登っていく。ときたま出てくるクサリに、「ホンマにこれがルートなの?」という不安が解消される。それを幾度か繰り返していくと最後の急傾斜の沢が現れた。すぐ左を流れ落ちる中の滝の瀑音からも尾根に抜けたことがわかった。全員、もうヘロヘロである。これまたなつかしのサマコレ終了点を通り抜けとぼとぼと駐車場を目指した。
解散後、浜矢さんと二人でたたら亭で鴨ウドンを食って帰ることにした。本当に久しぶりなのに、おばちゃんに顔を覚えていてもらっていて少々感激した。おばちゃんの話では千石尾根のルート開拓はたたら亭・大台教会のご主人だそうです。また偶然に古い友人にも会え気持ちよく山行を終えることが出来た。
その後計画された弥山川ゴルジュ上部&双門の滝登攀、池郷上部遡行、前鬼不動七重滝登攀はことごとく天候不順により中止となった。次回はいつになるか分からないがチャンスをみつけて是非トライしたいものである。

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