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小太郎岩

日程 2006年7月9日
地域・山域 香落渓
形態 岩登り
メンバー 岡本、佐々木
報告 佐々木

7月9日(日)

取り付き10時 ― バンド11時小休止 ― ライオン岩鼻下12時30分 ― 終了点15時 ― 駐車場16時

7月三連休に計画している甲斐駒ヶ岳ダイヤモンドAフランケ赤蜘蛛ルートのトレーニングとして小太郎岩へ行くこととした。
8時に橿原を出て9時に駐車場着。雨の予報であったが好転し、時たま太陽が顔を出す。しかし、湿気が強く不快指数は高い。少し動いただけで汗が噴き出す。
9時半に取り付きに着いたが又しても私のチョンボで再度車まで。30分の時間ロス。
奇数ピッチ岡本、偶数ピッチ佐々木で10時に登攀を開始した。
1ピッチ目は快適な掛け替えで久しぶりの人工を楽しんだ。ボルトも最上段に乗り込まなければ届かないものも多く最後まで飽きさせない。バンドを上部への取り付きまでトラバースし小休止。
2ピッチ目は核心への連絡路のようなルートである。問題なくライオン岩の鼻の下に到達。
いよいよWハングである。岡本さんは危なげもなく確実に1つ1つ乗り越えていく。はるか下の駐車場に目をやると私の車の横に福本さんの車がとまっている。今から登ってくるのであろうか。岡本さんの姿が鼻の上に消えてからしばらくしてビレー解除の声。ついに私の番である。登り始めるとポツリポツリと雨粒が顔に当たり出す。難なく上のハングの端まで到達。しかし、そこからが問題であった。体が重くハング上のピンが取れないのである。「チクショ〜!すんませ〜ん。張って下さ〜い。くやしい〜!」ここまで調子よく登ってきて核心の最後にきついしっぺ返しを受けてしまった。徐々に腕力の衰えるこの歳で78kgはやはり重すぎる!ケツが上がらん!5kgしぼって次はリードで出直しである。よっこらしょとなんとか乗り越えハンギングビレーの岡本さんと並ぶ。
お茶を一口ふくみ最終ピッチへトライする。5段ハングはとても歯が立ちそうにないので直上し左フェースを巻き上がるルートを取る。ここはロングである。ギアの数が心配なのでプロテクションは1つ飛ばしにする。ライオンの顔の上のハングのおかげでなんとか雨はしのげそうと思いきやゴロゴロゴロと雷が鳴り出した。やべ〜なぁ〜と思いつつ左フェースを回り込んだところで土砂降りに。とにかくすごい雨である。上を見ても雨が眼鏡をたたきよく見えない。ピンはどこだどこだ!周りの岩に流れが出来はじめた。あせるなあせるなと言い聞かせながら、指で眼鏡を拭きながらピンをさがす。最上段に乗っても届かず嫌らしいフリーの箇所があると記録にあったがどこだ!あせるなあせるな。周りの全ての音を消してしまうような土砂降りの中で高度を上げていく。ここでもギアは1つ飛ばしでがんばった。結果的に終了点直前に手持ちのギアを全て使い切ったことを考えると頑張ってよかったのである。いくら探してもピンがない。フリーの箇所はここなのか?相変わらず雨は土砂降りである。岩に手をやると水の流れが手を伝う。何とかホールドを探し岩に乗り移る。両足を岩に乗せたとたん体が動かなくなる。なぜだ?股の下をのぞくとスカイフックがヌンチャクにひかかっている。あれだけ気をつけていたのによりによってこんな時に!こりゃ落ちるなと覚悟しながら少し腰を下ろして片手でスカイフックをゆすってみる。外れない。思い切って腰をもう少し下ろし頼むから外れてくれと祈る。スカイフックがゆれて外れた。「あせるな、ゆっくり、ゆっくりだぞ」と言い聞かせながら体をいっぱいに伸ばし左上のピンに手を伸ばす。なんとか指がひかかる。そこでバランスをとりながらカラビナをようやくかけてシュリをつかむ。やったぜ!思わず「土〜砂降り〜の雨の中で私はさが〜す〜」と歌い出す。ふと足下を見るとそこにピンが!なんじゃこりゃ!しかし、この雨の中でよう登ったのぉ〜!変に自分をほめてしまった。終了点のバンドが迫ってきた。もう一息である。ところがまたまた行き詰まってしまった。マジで次のピンがない!どこだどこだと必死に探すがどこにもない。ふとやや右下を見るとピンがあるではないか。その先を見るとその上にもピンがある。ルートはあっち?ではこのピンはなに?考えても仕方がないので指ワイパーで眼鏡を拭き拭きなんとか右のピンへのトラバースを試みる。この間、岡本さんは土砂降りの中でずっとハンギングビレーである。申し訳ないと思いながらも何とも出来ないこの状況。なんとかトラバースをやりきり終了点の真下へ。なんとか最後のシュリをかけてやっと終了。
終了点からの50m懸垂下降。その40m弱が空中懸垂。気持ちよかったです。下降しながらはるか下の川を見るとえらく増水して濁流に。鮎釣りの太公望も誰もいなくなっていた。そりゃそうだろうよ。帰りに飲んだコーラの美味しかったこと。もう最高でした。ほんまにお疲れ様でした。しかし、マジにいいトレーニングをさせて頂きました。ありがとうございました。

小太郎岩全景

下部岩壁

これから登るライオンハング

ライオンハングの乗越し

青蓮寺川を見下ろす

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登攀ルート


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