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峡彩山岳会・奈良山岳会交歓登山 / 宝川・ナルミズ沢

日程 2006年9月16日(前夜発)〜17日
地域・山域 上越・朝日岳
形態 沢登り
メンバー 【 峡彩山岳会 】 11名
【 奈良山岳会 】 岡本、福本ひ、清岡、伊藤、米原、平井、
佐々木、徳野、尾崎
報告 伊藤

ルート/タイム

9/15 天理(21:30)…JR上越線・土合駅
9/16 土合駅(9:15)―東黒沢―1350m鞍部―ウツボギ沢(14:50)―ナルミズ沢出合・広河原(15:00)
9/17 広河原(7:15)―大石沢出合(9:45)―大烏帽子山南側鞍部(11:30)―ジャンクションピーク
(12:30/13:15)―清水峠(14:00/20)―清水(15:30) 民宿「やまご」泊
9/18 帰奈

9月16日(土)

16日早朝、少し夜が明けかけた5時過ぎに土合駅の駐車場に着く。天理から約600キロメートル、途中二回の休憩を入れて7時間半の走行である。
上越のこの辺りは谷川岳をはじめ有名な山が多いせいか、駅舎の中で、また、駐車場にテントを張り仮眠している登山者が目に付く。私たちも少し車中で仮眠をとることにした。疲れて頭がボ〜ッとしていてなかなか眠れない。
5年前に初めて参加し大歓迎を受けた交歓登山のことや2年前の大峰・大台での交歓登山のことなどを回想しながら眠りについた。
8時半ごろ下り電車で峡彩の方々が到着される。朝食をしている者やパッキングをしている者もしばし手を休め、再会を喜び合う挨拶や握手を交わす。井出さんが手づくりのおにぎりや漬物を広げて勧めてくださる。もう暖かい交歓会が始まりつつあるのを感じて、これからの二日間の親交や感動などを思うと心が高鳴ってくる。
支度ができ、両会長の挨拶、各自の自己紹介などを行った後、記念写真を撮り、9:15に総勢20名、色とりどりのヘルメットの大パーティが出発する。
今日のコースは東黒沢から入渓し、枝沢の丸山沢を詰め最低鞍部を超えて小さな沢を逆遡行してウツボギ沢に下り、そこから川下のテント場までの約5時間とのこと。心配していた天候も何とかもちそうである。水量は多い感じであるが心配していたほどではない。これぐらいのほうが遡行の面白さと緊張を倍増してくれそうだ。
広い川原いっぱいの岩盤のナメ床が続き、水しぶきをあげて流れる岩の脇を快調に進んでいく。川幅が広いせいか、渓が明るい。緑も一段と映えている。
10:40頃になるとところどころで川幅が狭まり水深が深まったり、ゴルジュなどが出てきたり遡行に変化を与えてくれる。メンバーの力量に応じて直撃突進する者、高巻を選ぶ者、それぞれのスタイルで遡行を楽しんで進んでいく。
高巻きはいいが再入渓するとき、ホールドやスタンスの少ない岩で滑ってしまうと淵にドボ〜ンの楽しいところも出てくる。期待通りドボ〜ンが起こる。振り返ると米原さんがもがきながら上がってくる。足がつく深さであるがライフジャケットを車に置いてきたのを悔いておられる。
大きな斜滝の眺めは豊富な水量で圧巻である。その脇を彩り豊かなヘルメットや大きなザックを担いで一列に登っていく大パーティの姿は壮観である。高度な技術を要するようなところは無く小滝や激流の斜滝やゴルジュなどがどんどんでてくる。
他の人達の沢靴と異なるタイプで、滑りにくいとの触れ込みの沢靴を購入した平井さんが滑り笑いを誘うハプニングなどあり、みんな十分楽しんでいるようだ。標高が上がるにつれて水温が冷たく感じるようになってくる。
11:50に小休止をとり二股から左の沢に入る。再び長いナメが続くがフリクションを利かせて快調に進む。しかし、巻き道をとると昨夜来の雨でドロドロのぬかるみで泥んこになったりした。
12:55に次の二股から少し登ったところで沢からそれる。しばらく踏跡があるが背丈ぐらいの藪こぎ道となる。前後に確認のコールを繰り返して進んでいくと最低鞍部についた。そこから反対側への下りである。直ぐに小さな沢があらわれそれをどんどん下っていく。補助のロープなど使用することなく下降出来る岩場がところどころ出てくる。先ほど遡行してきて丸山沢とは比べものにならない沢下りというより一般の下降ルートである。
小一時間でウツボギ沢に出た。そこを10分ほど下りてナルミズ沢との出会いの広川原に15:00に到着した。名前のごとく沢が合流している広いところでテント場に最適である。既に、二パーティがタープやテントを張り、火を焚き幕営の準備をしていた。殆どのパーティはそこで幕営をするようだが、そこは混み合うし、また焚き火の木がない為、少し登山道を進み、道幅が広くなったところで幕営することになる。
途中で少し雨がぱらつく程度のまずまずの天候であったが、幕営地に着いたころ再び雨がぱらついてきた。早速、幕営の準備にかかる。
タープ三張、テント一張(峡彩女性用)ならびにキャンプファイヤーの上に雨避けの大きなシートを一張り。焚き火に用いる木は濡れているが、熟練の技で30分ばかりで勢いのいい火がパチパチと燃え上がる。一方で峡彩の女性軍が私たちの夕餉の支度に精を出してくださっている。
準備が終わり日が落ちかけた頃、成海リーダーの歓迎の挨拶で楽しい夕餉の宴会が始まる。野菜の入ったマカロニサラダ、冷えた体に暖かい豚汁に「あ〜美味しい」との声。また、個人の差し入れの珍味が回され、ビール、ウイスキーなどのアルコールをいただき宴が盛り上がっていく。
自己紹介をして段々打解けた雰囲気に包まれ、会歌にはじまり山の歌が合唱され夜遅くまで交流が深められていきました。宴会が終わっても更に話に花が咲いた面々はパチパチ燃える焚き火の周りで寝ることになったようです。
心配していた雨は夜中に少し降った程度で幕営に殆ど影響が無かったことは嬉しいことでした。夜行走行での睡眠不足のためタープのもとでも寒さを感じることなく快適にぐっすりと休むことができました。

土合駅を出発する

 

ハナゲの滝

 

 

ナメが美しい

さらに続く

自然と顔もほころぶ


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9月17日(日)

翌17日、5時半頃目が覚めると雨は上がっていました。若し雨なら登山道をショートカットして清水へ直行する話が昨夜ありましたが、この天候では天国へ続くという触れ込みのナルミズ沢の遡行ができそうである。
朝まで燃え続いた焚き火に枝木をいれ燃え上がらせ暖をとりながら朝食を済ませる。リーダーから今日のコースの概略説明があり、水に濡れた冷たい沢装備をつけて7:15分に出発。
約5分ほど登山道を辿ってからナルミズ沢に入る。水温は昨日ほども冷たく感じない。水量は昨日と同じ程度であるが昨日の沢に比べてスケールが一段と大きい。滝の落差も大きいがロープなしで何とか攀じ登れるところが沢山有り適度の緊張を楽しめる。ナメもスケールが大きく長く続いている。
5年前の沢は更にスケールの大きいナメが何処までも続いていたことを思うと、このような沢の形状は上越の渓の特徴であるのかもしれない。関西ではとても経験できない楽しいものがあります。
2時間ばかり遡行をすると前方に大烏帽子岳の三角形の山容が望まれるようになってくる。高度もかなり稼いできて沢の水量も少なくなってきたが勾配が段々きつくなりパーティが縦に長くなっていく。
その頃から青空が見えだし少々暑く感じるようになってきた。
さらに高度をあげて樋状のナメや小さな斜滝をたくさん遡行して沢の終点に着く。そこから大烏帽子岳の裾野を縫いコルを目指して登山道を登っていく。今日の最高地点のジャンクションピークへの長い登りと尾根道が続く。
はじめはメルヘンチックな大草原の道だが段々険しくなっていく。いつ登山靴に履き替えるのかと思いながら歩き難い沢靴で登る。笹が茂り踏み跡が殆ど確認できない稜線の少し下の傾斜を斜めになった姿勢でバランスを取りながら、休憩を取らずに約一時間半も歩いてジャンクションピークに12:30に着いた。心身ともに限界を越えていた。折角、持参したステッキを出すこともせず我慢したことが悔いられる。
殆どのメンバーが限界を越えて頑張ってきたことを無言で訴えるように、暫くはへたり込んでいる。しかし、そこからの上越の山々の眺めは360度素晴らしい。水と食べ物を取り元気を回復すると彼方の山々を指差しその名前を確認するなどしての大休止をとった。
辛かった沢靴を脱ぎ、登山靴に履き替え13:15に出発する。そこから迎えの車が来ている林道まで3時間、高度差1100メートルの下り道である。
一時間ばかりで山小屋がある清水峠に14:00に着く。その峠まで峡彩の支援メンバー数人がビールを担いで上がってきて下さっていました。小屋の裏側で台風の影響らしき強風を避け乾杯をして喉を潤しました。
暫く、休んだ後、長い急勾配の謙信尾根を一気に下る。2時間のコースタイムを一時間半のノンストップで下りるスピードについていくのが精一杯でしたが、楽しい仲間と素晴らしいコースに満足してか、心地よい疲れとしか感じませんでした。
迎えの車が待っている川原に15:30に無事着き、楽しかった2日間に沢遡行が終わりました。

 

 

魚止めの滝

このナメは天国へと続く?

源頭付近、草原が素晴しい

一面に草原が広がる


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