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日程 | 2008年8月12日(前夜発)〜16日 |
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地域・山域 | 北アルプス |
形態 | ハイキング |
メンバー | 佐々木、他1名 |
報告 | 佐々木 |
午前8時前に折立を出発。天気は晴れ。
標高差1000mをゆっくりと登る。12時半に幕営地の太郎兵衛平に着。黒部五郎岳が美しい。
テントを設営して薬師岳をピストンしようと準備を進めていると雲が急速に湧いてきて計画を一旦見合わせる。案の定豪雨。テントの中で読書にふける。
黒部五郎岳遠望
雲ノ平遠望
薬師岳をバックに
太郎平小屋へ
朝から晴天。薬師沢へ下る。
薬師沢小屋にある「赤木沢入り口」をながめながら宮西さん&米原さんの健闘を念じる(計画中止)。
しばし小屋で休憩して吊り橋を渡りいよいよ雲ノ平への登りにかかる。2時間の悪路の急登が永遠と続く。
あまりの悪路に次々とバテていく道である。しかし、その後に待っている雲ノ平の美しさはそれまでの苦しさを忘れさせてくれるに十分である。
ゆっくりと景色を楽しみながら幕営地を目指す。おとぎの世界にあるような雲ノ平山荘。
テントを設営して読書にいそしんでいるとまたまた豪雨。テントを叩く音を聞きながら就寝(毎晩である)。
薬師沢吊り橋
雲ノ平
雲ノ平山荘
濃いガスの中を出発。視界は10mもない。遠近感のない世界の中を進む。
祖父岳の頂上にあるケルンがまるで幽玄の世界をつくっていた。ケルンがないと迷ってしまいそうな濃霧であった。
岩苔乗越に着く頃降雨。視界も回復せず鷲羽岳を断念し源流ルートを降る。
黒部川源流地標を三俣山荘にむけて登り返す。相変わらずガスの中。
黒部五郎岳に向かうときには集中豪雨のような雷雨。激しく雨に叩かれながら黒部五郎小舎着。もちろん小舎は超混雑。
水を確保し豪雨の中を幕営地に向かう。
幾つもの水の流れを読みながらテントサイトを決める。豪雨の中でもテントが張れることをお客に教え感心された。
豪雨の中で読書。
祖父岳濃霧
黒部源流地標
雨は小降り。濃いガスの中をカールルートで黒部五郎岳を目指す。
カールの中程に来るとガスの中の大きな岩に取り付いているボルダーを発見。こんなところでボルダーかい!と思いながらしばし言葉を交わして写真を撮らせてもらった。
その後五郎の山頂でも出会い話を進めてみると錫杖の左方カンテをクリーニング(ビレイ点)の整備等をされた岐阜のRight&Fastの田内さんであった。地元とはいえこんなところまで登れる岩を求めてくるとはたいしたものである。錫杖で出会ったらよろしくと別れる。
それから赤木岳、北ノ股岳を越えて太郎平を目指すがこれが長い!ありがたいことに雨はやんで時々ガスが切れる。
数日間にわたる縦走をするときの行動食をみんなはどうしているだろうか。私は最近では手巻きオニギリである。朝、α米を作っておき、昼食時に塩をかけて板海苔で巻いて食べる。めっちゃ美味いっす。かさばらず軽量化にもなる。
ぐったりとしながら太郎山を降り太郎兵衛平に到着。雲ノ平周回の完結である。
テントを設営している間にまたまた豪雨。毎日なので慣れてくる。またまた豪雨の中で読書。
チングルマ
キキョウ
撤収し雨が来ないうちに下山開始。折立までは降らずに助かった。
ずぶ濡れでは車に乗りにくい。温泉に直行。
温泉につかっている時に猛烈な豪雨。氷見市では避難命令が出されるほどであった。とても車まで行けないのである。
しばらく待っていると収まるであろうと待っていたが一向に収まらない。意を決して車に向かう。車まで30m。ずぶ濡れであった。
石川を抜け福井にさしかかるころ雨は小降りになった。最後まで雨にたたられた山行であった。
テントを設営し景色を楽しんだ後はなにもすることがないので文庫本を二冊持っていった。
「狼は帰らず アルピニスト森田勝の生と死」、そして彼のライバルであった「長谷川恒男 虚空の登攀者」である。共に佐瀬稔著である。
森田は夢枕貘の「神々の山嶺」の「羽生丈二」のモデルとなったクライマーである。森田も長谷川も屈指の技術を持った最高のクライマーである。しかしその屈指の技量ゆえに時には自己中心的となり敵を数多く作り孤独な袋小路の中に迷い込んでいくのである。
しかし、それは決して我が儘と一言で片付けられるものでなく、ある意味純粋すぎるほど純粋であったとも言えるのかもしれない。
二人はグランド・ジョラス北壁の冬季単独登攀を競い合う。先行した森田は墜落し重傷を負う。その森田が現地の病院で入院している間に長谷川は北壁の冬季単独登攀をやりきってしまう。
その後傷の癒えた森田は何を思ったのか単独ではなくパートナーを連れて冬季登攀に挑み墜落死する。その数年後長谷川もパキスタンの未踏峰ウルタルU峰で命を落す。
雨の中で2冊を読み終えあまりに強烈な二人の個性に考えさせられてしまった。
雨中縦走と読書・・・ある意味充実した山行であった。
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