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別山

日程 2009年10月24日〜25日
地域・山域 白山
形態 ハイキング
メンバー 辻、チョット岳、清岡
報告 清岡

ルート/タイム

10/24 市の瀬(10:15)〜千振避難小屋(14:45)
10/25 避難小屋(5:05)〜別山(6:35/7:35)〜避難小屋(8:45/9:15)〜市の瀬(12:10)

記録

10月24日(土)

霊峰白山の南に位置する別山は本峰に比べて登山者の数は比較にならないほど少ないが魅力的なピークである。特に、指呼の間にある白山本峰の眺めが素晴らしい。
南縦走路の石徹(いとしろ)からのルートと上小池キャンプ場からのルートからは昨秋(三の峰止まり)と今春に別山を試みている。今回は白山温泉のある市の瀬からのチブリ尾根を登り千振避難小屋一泊の計画である。朝早く登山口を出ると日帰りのコースであるが、奈良からはどうしても途中一泊を要する。この一泊が、あわただしくピークを踏んで下山するのではなく、入山時間を長くして山登り本来の醍醐味をゆっくり楽しむことができるのである。
今週初めに初冠雪があったとのことと、土曜日は全国的に快晴との予報に加えて、素晴らしい紅葉を期待して出かけた。
市の瀬登山口に着いたときは、初冠雪の景色は期待できないことが分かり、また、快晴の予報に反して、生憎の曇天で靄がかかったような天候であったが、紅葉には眼を見張るものがあった。
久しぶりの避難小屋泊の山行である。夏場の山小屋泊とは事情が違う。加齢を重ねた体には食料類と寝具一式をいれたザックのベルトが肩に食い込む。今日のコースタイムは4時間。少し登りを頑張れば避難小屋に着く。時間的に余裕があり、重荷のためスロースローのスタートである。
新しい林道と登山道が交互に交差している道を20分ばかり行くと登山口になる。今日のコースは終始、急な直登がなく古い登山道の面影があり着地が心地よかった。また、所どころ石畳み状に自然石が敷設してあり本当に歩きよい。避難小屋までは途中には水場もあり紅葉の好季節であるため多くのハイカーが訪れていた。市の瀬の自然探索ガイド付きのハイカーグループ、数組にも出会った。
標高800メートルの登山口あたりから1000メートル前後ぐらいまで紅葉が真っ盛りである。イエロー基調に紅葉のグラデーションが実に細やかに変化している。自然のなす彩色芸術の見事さに圧倒される。「ええなぁ〜、ええなぁ〜」と単純な感嘆の声を発する以外に表現する言葉が出てこないのが情けない。
さらに、素晴らしことに大木が実におおい。栃、桂、ブナ、楢などの4~50mの大木が屹立している。その姿には風格があり凛とした威厳を感じる。標高1000メートルを超えるあたりからは紅葉が終わり落葉した樹木が多くなってくる。少し上部に広い範囲、ダケカンバの群落がある。落葉した肌木はくねくね曲がり木肌の白色と相俟ってひと際目を引く。
上部から見下ろす紅葉の自然林は、ぼこぼこと膨らんで見え、一斉に大合唱をしながら笑っているような賑やかさである。
「ええなぁ〜ええなぁ〜」を連発している内に、千振避難小屋についた。小屋は見晴らしのいい高台にあり、別山や白山本峰に手が届きそうである。
小屋には三人の先客があり、しばらくしてから一人が到着し、今夜の客は7名となる。しかし、約三間掛ける四間の空間は広々として余裕がある。早速、宴会が始まる。おでん、焼きそば、かもの燻製など料理も豪勢だ。
酒と料理をたえらげると、することもないのでほろ酔い気分で四時半ごろからシュラフに潜り込んでしまう。うとうとしていると、夕焼けが綺麗だとの声で目がさめ外へでると、西の空に赤く燃えたような帯状の夕焼けの珍しい光景があった。

10月25日(日)

翌朝は、早く就寝したにもかかわらず寝過ごし、小屋を出たのは五時を過ぎていた。小屋がある高台から少し下り後はジグザグの急坂を約450メートル登りきると稜線ピークだ。その稜線を南に10分行くと2399メートルの霊峰白山・別山ピークである。
東の空には絵具を溶いたような薄青色の雲がたなびき、その上に穂高連峰の稜線の上部だけが浮かんでいるように見える。槍の穂先もはっきりと見えている。さらに、右手には乗鞍岳と御岳が浮かんでいる島のようだ。
やがて、雲の上から太陽が顔を出し稜線がいっせいに輝きだした。這松の濃い緑と地肌のまだら模様の白山本峰が大きく浮かび上がる。
南には昨秋に登ってきた稜線が連なり、別山平の池塘や三の峰の避難小屋も陽に照らされてはっきり見えている。一方、西側は、紅葉の向こうに大長山から赤兎山の大きな稜線、その向こうに経ケ岳や荒島岳が。実に、雄大な景色である。上空は晴天で全く風がない。太陽の光を受けてぽかぽかの春のような陽気である。コーヒを沸かし朝食をゆっくりとり一時間も貸し切りの頂上で長居をしてしまった。
避難小屋に着くと、昨夜一緒だった自称還暦のお兄さん(40歳半ばか?)がビール6本とウイスキーを飲みほしていい気分でいる。長靴で登り2時間のスピードで我々を追いこして行き、下りも酒の匂いをさせながら追いこして下りていった。誰にでも話しかける陽気なお兄さんで、昨夜の宴会時もS氏のお誘いでひと時ではあるが我々の仲間に入り、おでんを一緒につついて談笑した。人懐こい人に好かれる性格のようだ。かなりの山通のようであるが、小松市からの単独行で避難小屋で一人で酒を飲みに来たが6人の同居者がいて良かったと話していた。変わった山の楽しみ方だと感心した。
下りは違う角度から素晴らしい紅葉を「ええなぁ〜ええなぁ〜」を連発しながらゆっくりと下りた。そして、市の瀬にある秘湯の湯の永井旅館で貸し切りの湯に浸かり疲れを癒した。

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帯状の夕焼け雲

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別山ピークで

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自称還暦のお兄さんと

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ダケカンバの群落

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目の覚めるような紅葉

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大きな荷物が肩に食い込む

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ブナ林の紅葉

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市の瀬周辺の紅葉

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秘湯の湯船に浸かって


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