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武尊山(ほたかやま)・皇海山(すかいさん)

日程 2010年7月17日〜19日
地域・山域 上州
形態 ピークハント
メンバー 池田、清岡
報告 清岡

1.上州周辺の山へのプロローグ

関西から車で群馬周辺の山域へは遠く行き難い。しかし、「念ずれば花開く」のご利益のお陰か、数えてみると随分と行っている。
尾瀬の燧ケ岳、至仏岳を始め会津駒が岳、巻機山、谷川岳、苗場山、草津白根山、四阿山、赤城山と続く。そして、最後のターゲットとなっていたのが武尊山(ほたかやま)と皇海山(すかいさん)だ。
エベレスト・ママさんの田部井淳子さんは10年先まで登る山(世界の山だそうだが)を計画に組み込んでいると聞く。
大登山家の計画と比べて話す内容ではないことは百も承知であるが、心の中で行きたい山々を思い計画し、時間をかけてその思いを熟成発酵させていくことが実現への近道であり、そのプロセスが登山の楽しみの一部であるように思う。
熟成発酵させた名産(山)を賞味する機会がやってきた。

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皇海山の遠望(前武尊山近くから)

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尾瀬ガ原の燧ケ岳(双耳峰)


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2.武尊山(2158m)

7/17 奈良発(9:30)〜登山口(川場谷野営場駐車場)(18:30)
7/18 駐車場発(5:00)〜スキー場の分岐(6:35)〜前武尊山(7:15/7:25)〜家の串(8:26/8:35)〜武尊山(9:35/10:05)〜家の串(11:00) 〜前武尊山(12:00)〜駐車場(13:40)
歩行時間:約8時間40分(休憩含む)

待ち遠しかった梅雨明けと夏休み前の三連休が重なり高速道の渋滞が心配であった。京滋パイパスの巨椋I/Cまでくると高架上の高速道は車が連なり動いていない。瀬田東まで渋滞との表示である。急遽、ユータンして枚方からの307号線で新名神の信楽I/Cのコースをとることに変更。この判断がよく、西名阪、湾岸道、東海環状道、中央道、長野道、上越道から関越道の沼田まで610キロ、ほとんど渋滞に遭わずに進ことができた。沼田市の川場村から「奥利根湯けむり街道」を約30キロ進み細い林道を1.5キロ入ると50台駐車可能の大きな駐車スペースがある。その片隅に風雪に耐えた風格の立派な避難小屋がある。階段を5段ほどあがる高床式で中は6X6mのスペースで真中に焚火が可能なレンガ囲いがある。
連休であるのに先客はいない。テントの予定であったが大気が不安定で夜半に雷雨の予想が出ていたので避難小屋泊と決め込む。後はいつもの通り宴会をして早めに就寝。しかし、夜中に人の気配で目が覚めた。東京からの二人の若者の来訪者があったのだ。(12時過ぎ)
夜半に雨があったようだが快晴の天気である。今日は長丁場のコース、5時に行動を開始。登山道入口の道標に「上り4時間30分、下り3時間40分 往復消費エネルギー 2940Kcal」とある。消費エネルギーの表示は、運動不足の解消にやってくる登山者へのサービスなのか、気が利いていて立案者の遊び心がうれしい。
始めは川沿いの緩やかな道を進むが不動岩への分岐から標高線に直角の急登となる。自然林の美しい山である。しかし、今日は湿気が多く汗が噴き出る。I氏のシャツは既にボトボト。前武尊山までくると標高差は残り120メートルで、ルンルン気分の尾根歩きを期待していた。しかし、剣が峰の岩峰群の辺りのトラバース道は根っこが横に曲がった笹が斜めに道にひきつめたようになっていて、気を緩めると滑り本当に歩きにくく苦労する。また、そこを過ぎると、トラバース道に大小の岩があり数メートルごとにアップダウンが激しく実に歩きにくい。頂上まで緩やかな稜線をのんびり景色を楽しんで歩くことができなかったのは残念である。
頂上は360度遮るものがなく抜群の展望立地であるが、昨夜来の雨で朝から山の峰々は雲に覆われていて展望は今一であった。しかし、雲の合間から以前に登った山々が確認することが出来たのはせめてもの救いだ。途中で富士山から南アルプスや八連峰が望まれたのはラッキーだったかもしれない。
武尊山は放射状に四つの登山ルートがある。われわれは関西からのアプローチの関係で今日のコースを選んだが、武尊牧場からや武尊神社からのコースが一般的でアルバイトが少ないようだ、ということが山頂での情報交換で分かった。
下山も前武尊山までの悪路に悩ませされたが、そこからは一気に駆け下りた。
前日の雨の影響で笹やぬかるみなどでズボンの裾はどろどろで、また、無風、高湿度で身体じゅうがびしょ濡れで疲れきっての下山となった。そして2940キロカロリー消費の道標をみてこのエネルギーの消費にこの過労かと、肥満対策の過酷さを思い知らされた。
移動の途中で地図にある木賊温泉でサッパリと汗をながした。そこは、定年退職したサラリーマン夫妻が新規に購入して改装オープンして三日目の温泉旅館だった。われわれ二人が初めての訪問客であったようで冷やしうどんを食べた時注文していない珍しい食べ物のサービスの歓待?を受けた。

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避難小屋での宴会

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川場谷野営駐車場避難小屋

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前武尊山の日本武尊象

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前武尊山からの富士山の遠望

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剣が峰の岩峰群のひとつ

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山頂にてポーズ

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2940Kcalの道標


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3.皇海山(2144m)

7/19 テント場登山口(4:35)〜不動谷のコル(6:05/6/10)〜皇海山(7:00/7:15)〜不動谷のコル(7:45)〜登山口(8:40)
歩行時間:約4時間(休憩含む)

前日に皇海山の登山口まで入る。皇海山は武尊山と直線距離にして東南に約10キロの位置にある。従い、移動にも便利である。皇海山の西側の沼田からの登山口は二か所で栗原川に沿った栗原林道と倉見川に沿った倉見川林道である。前者は工事中で現在通行禁止。後者の林道はさらに長く約20キロ、所用時間1時間かかる。
周囲一帯の国有林整備の林道でかなり整備されているが千メートルを超すく高所の谷間を縫った無舗装の林道である。走行は慎重にならざるを得ない。後輪駆動部が時々バァ〜ンとハンマーで叩いたような大きな金属音をたてる。
車が壊れるのではないかと不安で点検するがどうもその原因が分からない。ようやく目的地の駐車場(標高1350m)に着くと一パーティが既にテントを設営してその横で派手に宴会を盛り上げている。関東の中高年の3人組である。後で、分かったことであるが、今春に会津駒が岳の山頂で15名ほどの都立岩倉高校山岳会(OB会)の集合写真ののシャッターを頼まれたが、その時のメンバー三人であった。こんな山奥での奇遇に人生の巡り合いの不思議な縁にびっくりである。
まだ、薄暮前であり天候も良かったのでテントの横で乾杯して本日の健闘をたたえあった。夜の帷に包まれるころ上空にはスイカを縦に切ったような月が浮かび明日の晴天を告げていた。

今日は下山後、奈良までの長距離ドライブがあるので早くの下山を心がけ4時半ごろ出発。しばらくは不動谷に沿ったカラマツ林の緩やかな登山道を進む。カラマツの葉っぱの厚みのある道は柔らかで歩き心地が抜群だ。湿度も少なく爽やかで周囲の景観も明るく気持ちがいい。やがて、何回となく川を渡り高度を上げるにしたがい、登山道は川の中に導かれてくる。ゴロー石ではなく砕石状になった谷床は歩くのに苦労するほどではない。緩やかな滑床もあり清流が少し流れていて沢歩きの上流部の感を呈している。
一時間ぐらい進むと谷の清流も途絶えてゴルジュ部になると右手への直登道になる。
固定ロープが延々と張られている。ロープを掴んだり木の枝や根っこを掴んだりしての悪戦苦闘が30分続く。やがて鋸山と皇海山のコルに到着。初めての休憩で一息入れる。そこから北方向への稜線を一時間進むと頂上だ。頂上手前に両手を使うような急登が少しはあるが普通の尾根道である。コルから上部はオオシラビソやツガ、モミなどの常緑針葉樹林で覆われている。途中に南西方向の展望が開けているところがあり冨士山から南アルプスが望めたが、それ以外はほとんど展望のない単調な山である。
山頂はあまり広くないスペースに三角点柱がある平凡な頂で、樹林越しに近くの山がなんとか確認できる程度の展望しかない。北西方向には冠雪した北アルプスの山並みが遠くではあるがはっきりと見え山容から個々の山が確認できた。岩倉高校OBのメンバー二人と頂上であったが予想以上に登山者がすくないのにびっくりである。下山途中に数パーティに会ったが昨日の山の賑わいに比べると本当に少ない。展望が悪く登山口までのアプローチが長いので人気が今一なのか、たまたま、その日が少なかったのか?
下山は一気に駆け下りた。そして、長い林道を慎重に運転して、目星を付けていた「シャクナゲの湯」でサッパリ汗を流し二日間の山行を無事終えることができた。

全走行距離:1330km(高速料金¥2300)

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登山口のテンバでの宴会

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途中唯一の展望箇所からの富士山

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山頂にて

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山頂の分水嶺

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下山時の小さな滑滝

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登山口の道標


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